人事のススメ!

これからの時代に求められる人事の考え方を書き綴るブログ

本当に伝わっていますか? チャット時代のコミュニケーション術!

話の上手さと伝達力は比例しない…

今回はコミュニケーションのお話です。新型コロナウィルスの影響もあり、テレワーク・リモートワークに急速にシフトした会社もあることから、コミュニケーションの変化に戸惑う企業も多いことでしょう。今まで口頭伝達だったコミュニケーションが、メールやチャットに置き換わることで、不具合が生じているという話をよく耳にもします。まず、心得たいのは、話の上手さを過信してはならないということです。話の上手さと伝達力は必ずしも比例しません。「伝える力」は、「伝わる力」と同義であり、言葉の選び方・重み・バックグラウンドなど、多くの要素が絡まって「伝達力」となって働くのです。不用意な言葉の選択、重いはずの軽い話はいくら流暢でも伝わらないのです。話が上手いと自認するビジネスマンは要注意で、意外とあなたの話は伝わっていないと、疑った方が良いのかもしれません。

 

なんでもスピード重視がいいのか…⁉︎ 伝達はスピード≦正確性

伝達のスピードを重視するがあまり、何でも口頭で済ませてしまう組織風土に、一石を投じたい。これはチャットも然りです。確かに口頭やチャットは、速やかに伝達を行える意味では有意義ではあるが、きちんと話さずとも分かることあれば、きちんと話さないと分からないこともあるのです。伝達とはスピード≦正確性ではなかろうか、とも思います。コミュニケーションの完結は、相手の理解にあり、理解できるまで正確に伝達して初めて、伝達は成立するのです。

 

そんな議事録なら要らない…

会議でどの会社でも取っている議事録でも同じことが言えます。議事録には、議論の流れを読み取る「思考力」と「語彙力」が求められます。

 

 

私自身も、会議後、議事録のチェックを依頼されることが多いのですが…、私自身が気になる点は以下の2つです。いずれも先述した「思考力」と「語彙力」に欠けていると思わざるを得ません。裏を返せば、議事録を取る意味・意義を理解すれば、自ずとこの能力は伸ばせるのだとも思います。要は「伝える力」「伝わる力」を意識し、備えることが必要なのです。

 

  1. 誤変換が多い
    一般的には「誤字」ですが、変換ミスがあまりに多い。表面的に見えるこの事象を深く考えると、こんな原因が浮き彫りになります。議論の流れが読めずに、どの漢字に変換していいかがわからないのだと…。議論の流れが読めれば、変換自体は間違えないはずなのですが、書き写すのに精一杯で、音声をそのまま打ち込んでいるだけで、思考に至っていないのでしょう。結果、表面的には「誤字」という変換ミスにそれは露見されるのです。

  2. 語彙が貧弱
    仮に議論の流れが読めても、漢字を知らないので変換ソフトの変換チョイスを誤る。概ねこんなところでしょう…。議論の流れを読み取る思考力は、字面を追っていても身に付かない。文章と同じで、文脈という「脈」を読み取らないとなりません。何を言っているのかではなく、何を話しているのかで読み取る訓練をしないと議論の流れは一向につかめない。

 

記憶と理解の話に近いのですが、言葉尻を記録するのではなく、話の流れを理解することを社員には訓練させた方がいいとも思います。そうすることによって、「議事録を取る」という作業は、社員の「思考力」と「語彙力」を伸ばす一つの有益な訓練になると思います。わざわざICレコーダーで録音し、それをそのまま議事録に書き起こす会社も無駄です。議論の流れを理解し、文脈を理解し、簡潔にまとめないのであれば、ICレコーダーのデータをそのまま保管しておいた方がまだマシです。何かあった時に聴き直せばいいのですから…。言った言わないの話も然りです。すれ違いの根本は言葉ではなく理解なので、表層的な言葉の記録ではなく、その裏付けを意識した方が良いのです。

語彙の乏しさを克服するには時間を要します。ビジネス会話や、読み物等でモノを言うこの語彙力は一朝一夕には身につかないのが難点です。「思考力」開発と同時に、ビジネス会話を増やして「語彙力」をつけていくしかありません。優秀な上司・先輩がしきりに新聞や本を読めというのは、知識もそうですが、この「語彙力」を高める為だと思った方が賢明です。「語彙力」は毎日の積み重ねで、ようやく身になってくる力なのです。

 

メール嫌いな管理職

昔ながらの習慣・慣習なのでしょうが、全てにおいて「口頭で話すこと」を求める管理職をよく見かけます。きっとその本性には、メールを読むのが面倒くさいとか口頭だと逐一質問ができるといった、管理職都合の言い分なのだとも思うのです。もちろん、口頭伝達を否定するものではありませんし、近頃は遅刻連絡等もメールで済ませるといった、言わば「逃げ道的」にメールを使うことも見受ける為、口頭伝達すべきことも多々あるとは感じます。一方、習慣だけで「書くより言った方が早い」といった口頭伝達のみを押し付ける「伝達エラーの多い管理職」へは、懸念や指南をした方が良いというのが僕なりの考えです。人間は、残念ながら時間とともに記憶が薄れたり、変化したりする為、口頭だけの伝達だけでは、やはり伝達エラーが頻発してしまうのです。管理職が、自らの習慣を押し付け、伝達エラーを頻発させては元も子もないのです。

 

口頭か?メールか?チャットか?

テレワーク・リモートワークが普及してくると、自ずと口頭伝達の機会は減り、メールやチャットと言った伝達手段が多数を占めてくることでしょう。前述の通り、伝達の目的が、原則「スピード≦正確性」だと考えると、以下の場合を除き、メールやチャットなど文書の伝達が望ましいとなってくるでしょう。

 

  • 緊急性が非常に高い場合
  • 相互応答的な会話が必要な場合
  • 表情・声のトーン等を含めて読み解く必要がある場合
  • 同じ事象(書類・現物・場面など)を同時に確認すべき場合

 

ぜひ、情報量の多くライトな口頭伝達に逃げることなく、メールやチャットなど履歴に残しても「伝わる力」を身につけて欲しいものです。特に変化の早い今の時代には…

 

笑顔でいれば、可能性はきっと広がる!