人事のススメ!

これからの時代に求められる人事の考え方を書き綴るブログ

部下から慕われる上司となるには? マネジメントの在り方を考える!

「任せる」と「放任」は異なる

非常に似ていて、実は全く異なるのが、「任せる」と「放任」です。よく管理職が「任せる」と言いながらも、程のいい言葉だけのマネジメントのフリをしているのを見かける。それは、管理職が本来担うべき、マネジメントの機能を放棄しているとも言えます。

 

  • 「任せる」とは、目的や目標を共有し、適時進捗を確認し、適宜助言を与える。
  • 「放任」とは、結果だけを求め、責任転嫁し、賞罰を与える。

 

マネジメントとは本来どのようなことをすることだろうか。英和辞書などで調べると「経営」とか「管理」とかいう和訳となっている。さらに国語辞典で調べてみると、

 

  • 「経営」とは要約すると「改善すること」
  • 「管理」とは「維持すること」

 

と言える。昨今、すさまじいスピードで変化する世の中においては、「維持」より「改善」がより重視されるが、維持する前に、世の中の方が変化してしまう為、その変化に適応することが求められる為です。 マネジメントの本質は、人を使って仕事をし、仕事を使って人を育てることだ。その良い好循環があってはじめて「改善」を生みます。そして、このマネジメントが難しい。よくある人事の課題についてのアンケートなどを見るといつも上位に位置されるのが、この「マネジメント」だ。昨今では、特にファーストラインマネジメントの品質が企業活動の成否を左右していると言っても大袈裟ではないでしょう。なぜマネジメントが難しいと言われるのか? それは、

 

  • 改善にゴールは無い(=変化に応じた改善をし続けなければならない)から
  • 人には感情があり、個々人や時期により、同じ感情はありえないから

 

と言った共通項が窺える。やはり、マネジメントの本質は、変化に耐えうる柔軟性なのです。

 

「褒める」と「叱る」は二者択一ではない!

書店などで平積みにされているマネジメント本を眺めていると「褒めるマネジメント」が、世間では、もてはやされている印象を受けます。これは、時代錯誤となった「叱るマネジメント」に限界を感じた反面教師の側面が否めません。ですが、管理者にとって「叱る」という行為は責務でもあり、放置してはならない場面や軌道修正する場面においては、「叱るマネジメント」は即効性や統制が効くという利点もあります。自律している社員だけであれば、もしかすると「叱る」という行為は不要ですが、人は弱い生き物でもあります。同じ人であっても、弱気に流れる場面があって当然とも言えます。そう言ったここぞという場面で、「叱る」をしないと、その積み重ねが組織の雰囲気を悪い方向へ変えてしまうこともあるのです。「褒める」と「叱る」は、けして二者択一ではなく、併用することこそ重要です。共に大切なのは、部下など相手を理解し、思いやった上で、是非「褒める」も「叱る」も行ってほしいと考えます。けして管理職自身の為ではなく、あくまで部下の為、部下を好転させて、組織の目的に近く為に、行うのです。

 

上司の役割は、部下ができるように導くこと

よく部下を問い詰めている上司がいまだにいますね。本当に時代錯誤だとも思うのですが、いまだに多くの企業に蔓延っています。

 

  • なぜできない?
  • なぜやらない?
  • なぜ? なぜ? なぜ?…

 

こういう上司は、きっと同じようにその上司から問いつめられているのでしょう。今までもずっと問いつめられてきたのでしょう。本当に残念な気持ちになるし、こういうことが組織風土を作ってしまい、いずれは誰も入社したくない・居続けたくない企業に成り下がってしまいます。上司の役割は、部下ができるように導くことです。怖がらせ萎縮させる成果を出せないようにしてしまう役割ではありません。 よく、北風型のマネジメントと太陽型のマネジメントという言い方を研修などではしますが、童話の「北風と太陽」からマネジメントになぞらえ、比喩的に言われています。

 

  • 北風型のマネジメントとは、具体的に、詳細まで指示してできるようにしてあげること
  • 太陽型のマネジメントとは、部下に考えさせ、考える力を身につけさせること

 

童話では、太陽は北風に勝つわけですが、やはり北風型マネジメントより太陽型マネジメントの方が、自分で考える力を身につける部下となります。ですが、まだまだ経験の浅い部下や能力の低い部下には、北風型マネジメントを思いやりをもってしましょう。まずは、やり方を徹底的に伝えて仕事を覚えさせるのが第一なのです。ある程度力のついた部下には、太陽型のマネジメントをしましょう。そうすることで、部下の限界値を引き上げることにつながります。

問いつめるという手法ですが、1990年代・2020年代もてはやされた風潮があります。かのリクルートトヨタでも「なぜ」と繰り返し追及することで、事象を深掘りすることや部下に考えさえるという手法として古いマネジメント本などでも紹介されていることがあります。ですが、やはり部下からすると、怒られている印象が拭えません。意見を言うのが億劫になる部下もいることでしょう。では、どうすればいいかかというと、簡単でして「なぜ?」を「どうしたら?」に言い換えてみると良いかと思います。「なぜできない?」を「どうしたらできる?」に言い換えてみるのです。部下と一緒に「どうしたらできるか」を考えるスタンスが、部下をモチベートし、部下と上司自身をも成長させるコツだとも思います。

 

上司として部下を動かすには?

人をマネジメントする上では、部下に「求める」という行為をします。「求める」に応えてもらうには、今や役職といった肩書きだけでは、部下は動かないことでしょう。だからこそ、多くの上司・管理職も悩み、迷っていることとも思います。人には欠点があり、完璧な人は一人としていません。上司にも同じことが言えて、上司にもやはり欠点はあります。そんな上司が、ただ闇雲に権力だけを駆使し「求める」ことをしたとしても、反論としては「欠点」を指摘されるだけで玉砕されてしまうことになるでしょう。「求める」ことをしても、人が動くのは、尊敬・信頼する人に対してだけだと捉えると、上司・管理職も何をすべきかというのが、幾ばくかは見えてくることでしょう。

部下から見て、指示に反発するときは、指示内容にではありません。指示を誰から受けるかによって反応は変わってくるのです。

 

  • 尊敬する人からの指示なら聞く
  • すごい人からの指示なら聞く
  • 好きな人からの指示なら聞く

 

皆さんの企業でも目にしたりすることでしょう。ですが、上司も人ですので、尊敬されたり、信頼されたりするのは、そして継続するのは非常に難しいということです。欠点が出た途端に、部下は指示を聞かなくなるのでは?という不安もあることでしょう。もっと簡単な方法で、汎用性高く継続性高い方法もあります。それは、部下は自分を理解してくれている上司の指示ならば、耳を傾けるということです。

 

  • 部下を理解することなら、努力でできます。
  • 部下を理解することなら、継続できできます。
  • 自分が完全でないことや欠点があることも、部下にも伝え、部下を理解しましょう。


こういうスタンスでいることが、部下の尊敬や信頼を得て、かつ上司自身も完璧でい続けるといった無理難題から解放され、苦しまなくて済むことにもなるのです。

 

  • 求めず、機会を与えましょう。
  • 経験を与えましょう。
  • 成長を与えましょう。
  • その為には、部下に感謝することから始めましょう。

 

そうすれば、いくら欠点がある上司でも人はついてきます。部下に感謝し、労い、成長の機会を与えることに注力することで、部下に慕われる上司・管理職となるのです。

 

笑顔でいれば、可能性はきっと広がる!